ウソ★スキ
「……友達だと、思ってたのに」

やっとのことで搾り出したあたしの言葉は、震えて、擦れて。
出しっぱなしになっている水の音にかき消されそうだった。


「やだ、誤解しないでね。私、今でも美夕のこと大好きだよ。……美夕が、ソラのことを好きじゃなければ、ね」

「……何よ、それ」

「あ! ごめん。ちょっと違うなー。美夕の気持ちはどうでもいいのよ。……私は、ただ、ソラが美夕に変な気を起こさなければ、それでいいの」


キラがなにか喋るたびに、あたしの身体からはどんどん力が失われていく。



「……あたしに『ソラを奪って』って言った言葉も、涙も、全部ウソだったの?」

「そうよ。私がソラから離れられるわけないじゃない」


「もしかして、キラの家に遊びに行ったとき……あたしがキラの部屋の前にいるのを知ってて、わざとソラと寝たの?」

「そう。美夕に聞かせてあげたくて」


あたしにはもう、涙を流す気力も残っていなかった。




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