ウソ★スキ
おまじない
「……そろそろ2人が帰ってくるよ。庭で、懐中電灯の明りが揺れてる」
そう言ってキラが食洗機のスイッチを押すと、ピッという音ともにお皿の洗浄が始まる。
水が勢いよく庫内に噴出す音と、お皿同士がぶつかる音。
あたしたちはしばらく黙ってその音を聞いていた。
あたしは、すっかり力尽きていた。
──だけど。
あたしは、どうしても。
どうしても、言わずにはいられなかった。
自分の気持ちを、もうこれ以上、キラに黙っていたくなかったんだ──。
「キラ、お願いだから、聞いて。……一度だけでいいから。聞くだけでいいから」
あたしは、キラの顔を見上げて続けた。
「あたしね、もう自分にウソはつきたくないんだ。……あたし、それでもやっぱり、ソラのことが」
そこまで言った途端。
キラの冷たく、険しい声がキッチンに響き渡った。
「聞かないよ!」