ウソ★スキ
「それでどうだったの? 話を聞かせて!」

ってキラに追求されたら、あたしはごまかしきれない気がした。



それに、もうこれ以上先輩を巻き込むわけにはいかない。


だって、これはあたしとキラの問題なんだから……。





階段を下りきって、目の前にあるリビングのドアを開ける。

誰もいないリビングは真っ暗だった。


たしか照明スイッチはドアのすぐ左側にあったはず……


壁伝いに手を這わせると、すぐにその指先にスイッチの感触を確認することができた。



……だけど。

あたしは電気をつける手を躊躇った。


リビングの奥にあるキッチンに、人影を感じたからだ。




キッチンの小窓から漏れる月明りに薄ぼんやりと照らされたその人影が、小さくあたしの名前を呼ぶ。

「……美夕?」


暗闇に目を凝らすと、次第に、その姿がはっきりと見えてきた。


「……美夕だろ?」



あたしの目の前に立つその声の持ち主は、ソラだった。






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