ウソ★スキ
あたしは伸ばした左手の中指に力を入れて、照明スイッチを押した。

点灯したては薄ぼんやりだった照明は、あたしたちが無言で向かい合っている間に、リビングだけでなくキッチンまでも明るく照らし出した。

それは、まぶしくて、思わず目を細めてしまうほどだった。



キッチンに立つソラは、見慣れたいつもの部屋着──キラと色違いのジャージ姿──で。

簡単にタオルで水分を拭き取っただけという感じの髪は、濡れて輝いていた。


「……今、そこの風呂に入ってたんだ」

首に巻いたタオルで髪をくしゃくしゃって拭きながら、ソラはキッチンの奥の共用バスルームを指差した。

そんなわずかな動きだけで、ソラのシャンプーの香りがあたしのいる場所まで届く。


ふと、あたしは自分がパジャマ姿だということに気がついて、思わず身体を横に向けた。

……なんだか、恥ずかしい。



「美夕も今、風呂上がり?」

「……うん」

「水、飲む?」

「……うん」



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