ウソ★スキ
「これ、さっき俺が飲んだやつなんだけど。……このままでいい?」

ソラはカウンターに置かれてあった空のグラスを手に取ると、キッチンから、カウンター越しにあたしの返事を待つ。


「……うん」

あたしはやっぱりそう答えて、小さく頷いた。



「さっきから、『うん』しか言わないんだな」

「……うん」

「ほら、また『うん』って言った」


ソラは冷蔵庫を開けると、中からミネラルウォーターの入ったペットボトルを取り出して、それをグラスに注いでくれた。

「はい、どうぞ」

ソラが使ったばかりのグラスは、冷たい水で満たされるとあっという間に汗をかいた。


「ありがと」

あたしはグラスを手に取ると、それを一気に飲みほした。


……冷たくて、気持ちがいい。

だけど。

その間、ソラがじっとあたしのほうを見つめていたから、なんだか落ち着かなくて。


「そんなにジロジロ見ないでよ」


あたしは横を向いたまま、空になったグラスをカウンターに置いた。



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