ウソ★スキ
「もういいよ」

泣きじゃくるあたしを、ソラが優しく抱き寄せる。


「美夕の気持ちは、分かったから。だから──」

あたしの髪を優しく撫でながら、

「ペンションに戻ろう」

ソラはまるで小さな子供に言い聞かせるように、続けた。


「2人で、先輩とキラのところに謝りに行こう。それで、何回でも、何十回でも、許してもらえるまで謝ろう」

「……2人で?」

「そう。2人で。2人なら、怖くないから」

「……うん」


──2人なら、怖くない。

その言葉を何度も何度も繰り返しながら、あたしはソラの胸に顔をうずめて泣いた。


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