ウソ★スキ
そんな真面目な頼子さんだから、起きている子供だけを残して帰ることは出来なかったみたいで。

頼子さんは何度も何度も2人の部屋を覗いて、2人が完全に眠っているのを確認してからでないと帰ろうとしなかった。



キラとソラはそれぞれの部屋に引き上げると、布団に入って、じっと頼子さんが帰るのを待ち続けた。

「早く帰って!」

そんなふうに祈りながら──



そして、頼子さんが家を出て、玄関の鍵がかかる音を確認すると、ソラは布団から飛び出して隣のキラの部屋へと移動した。



「キラは毎晩、俺が行くと布団の上に座ってガタガタ震えてた。それで、俺の顔を見るなり『怖い』って泣き出したんだ」


小さなキラの悲鳴が聞こえてくるようで、あたしの胸は強く締め付けられた。


「……俺は、そんなキラをずっと抱きしめて、『ねーちゃんは帰ったから、もう怖がらなくても大丈夫だから』って、キラを落ち着かせようとしたんだけど……」



──どんなに頑張っても、決してキラの震えが止まることはなかった。


ソラは、そこまで話すと、あたしの横で大きなため息をついた。



< 381 / 667 >

この作品をシェア

pagetop