ウソ★スキ
「こんなこと話してごめんな……。でも、俺の勝手だけど、キラも苦しんでるってことを、どうしても美夕に分かって欲しかったんだ」

「うん……」



キラは、いつだってあたしの隣で笑っていた。

ソラのことが大好きで、毎日何時でもソラの話をして、

そして何よりソラに愛されてるって自信を持っていた。


だから、キラは眩しいくらい綺麗だったし、

あの日、「ソラを奪って!」って言うまで、本当に幸せそうだったんだ──




「キラ、美夕にいろいろひどいことをしたと思うけど……許してやってくれないか?」

「許すだなんて……!」


あたしは首を思いきり横に振った。


親友の大事な恋人を奪おうとしているのは、あたしだ。

ううん、キラにとってのソラは、

「恋人」なんて言葉で済ませられるような生易しい存在じゃない。

もっと重くて、もっと深い── 

生きるために必要不可欠な存在なのに。




「許してもらう必要があるのは、あたしのほうだよ……」




あたしの目から、再び大粒の涙がこぼれ落ちた。








< 389 / 667 >

この作品をシェア

pagetop