ウソ★スキ
「──だけど怖かったんだ。美夕を好きだと自覚した途端、急に美夕に嫌われるのが怖くなって、どう接していいか分からなくなって。──キラにバレたときのことも心配だったし、俺なんかより先輩の方が絶対美夕を幸せに出来るって思ったし……。だから、俺はガキみたいに、美夕を無視することしか出来なかった」

「……あたし、絶対ソラに嫌われたとばかり思ってたのに」

「そんな風に見えた?」

「見えたよ! ……時々ソラが優しくなるのは、あたしに対する仕返しなんだって思ったよ。だから早くソラのことを忘れたくて……」



だからあたし、先輩に逃げたんだ。

先輩がすごく優しくしてくれたから、先輩のことだったら、絶対ソラ以上に好きになれるって信じて……。



「……ソラ、ズルい」

自分のことはすっかり棚に上げてそう言うあたしに、


ソラは微笑んで

「美夕だって」

って答えただけだった。


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