ウソ★スキ
もう一度風が木々を揺らすと、月は再び雲に隠れてしまった。

だけどもう、あたしがソラの顔を見失うことはなかった。


「そろそろ、行こうか?」


その時にはもうあたしの耳元まで近づいていたソラの口から、その言葉は囁かれて。


そして、ソラの唇がほんの一瞬だけあたしの唇に触れた。



「大丈夫。きっと、キラも先輩も分かってくれる」

「……うん」


「美夕のことは、何があっても俺が絶対守るから」

「……うん」




そしてあたしたちは、2人で一緒に、玄関の扉を開けた。



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