ウソ★スキ
「……とにかく、上に上がって」
先輩は靴箱横のスリッパ立てからひとつ新しいスリッパを抜き取ると、それをあたしの足元に置いてくれた。
「2人とも、靴も履かずに外に出たんだ?」
自分の足元に目をやると、すぐ横には、ソラが履いていたスリッパがあった。
あたしのスリッパ同様、やっぱりボロボロになったソラのスリッパ。
それは両方ともひっくり返って、土で真っ黒に汚れた裏面が露わになっていて、
ソラが慌てて脱ぎ捨てて2階へ駆け上がった様子を、はっきりと物語っていた。
あたしはゆっくり屈むと、ソラの履いていたスリッパを手に取った。
「……これじゃもう、使えないですね」
あたしはふたつのスリッパの泥を手で払い落としながら、目の前に立ったままの先輩を見上げた。
「ふたつも駄目にしちゃって……明日、奥さんに謝らないと」
先輩は、あたしを見つめたままで。
その硬い表情を崩そうとはしなかった。
先輩は靴箱横のスリッパ立てからひとつ新しいスリッパを抜き取ると、それをあたしの足元に置いてくれた。
「2人とも、靴も履かずに外に出たんだ?」
自分の足元に目をやると、すぐ横には、ソラが履いていたスリッパがあった。
あたしのスリッパ同様、やっぱりボロボロになったソラのスリッパ。
それは両方ともひっくり返って、土で真っ黒に汚れた裏面が露わになっていて、
ソラが慌てて脱ぎ捨てて2階へ駆け上がった様子を、はっきりと物語っていた。
あたしはゆっくり屈むと、ソラの履いていたスリッパを手に取った。
「……これじゃもう、使えないですね」
あたしはふたつのスリッパの泥を手で払い落としながら、目の前に立ったままの先輩を見上げた。
「ふたつも駄目にしちゃって……明日、奥さんに謝らないと」
先輩は、あたしを見つめたままで。
その硬い表情を崩そうとはしなかった。