ウソ★スキ
「これはただ事じゃないと思って、慌ててソラと美夕ちゃんもを探したんだ。だけど2人ともどこにもいなくて。いつの間にかペンションには俺だけだったなんて……一体俺の知らないところで何があったんだ? って、途方に暮れたところだったんだよ」

「ごめんなさい、先輩……」

先輩は「ふぅ」って小さくため息を吐くと、膝を伸ばして立ち上がった。

そして

「さぁ、早くスリッパを履き替えて。キラちゃんを探さないと」

くるりと階段の方へと向きを変えた。


「……はい」

あたしは先輩を追いかけようと、慌ててスリッパを履き替えた。

急いで玄関に上がって顔を上げると、じっとあたしを見ていた先輩と目が合う。


「こんな事、今話すことじゃないのかも知れないけど……ソラと、ちゃんと話せたんだね?」

先輩の表情は、少し寂しそうに見えた。


「美夕ちゃんの気持ち、しっかり伝えられた?」


あたしは黙って頷いた。


「よかった」

……先輩の優しい声が、胸に突き刺さるようで苦しかった。






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