ウソ★スキ
だけど。
さっきソラは、あたしの手を離してキラの部屋へと走った。

その行動に、何の躊躇いもなかった……。

そしてあたしは、そんなソラを追いかけることが出来なかった。


──やっぱり、どんなに頑張っても、キラにはかなわない……。

こんなときにこんな事を考えるなんて不謹慎極まりないけれど、


あたし、キラが羨ましいよ……。


そして、そんなことを思ってしまった自分のことが嫌いで、

大嫌いで。


もう……。
消えちゃいたいのは、あたしのほうだ……。



微かな気配を感じてふと2階を見上げると、いつの間にか、階段の先に白い顔をしたソラが姿を現していた。

ソラは、フラフラと危うい足取りで階段を下りてくる。

「キラの奴、どこに行ったんだ……」

すっかり血の気を失ったその唇は、小刻みに震えていた。


そして、そんなソラのことを、先輩は何も言わずに睨み続けていた。



ソラは、あたしの前に降り立つと

「美夕……ごめん」

って。

今にも泣きそうな顔で、消えそうな声で、そう言った。


だけどあたしは、苦しくて。

「顔色悪いよ。早くあっちに座ろ」


そんなソラから、目を離してしまった。









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