ウソ★スキ
その言葉にハッとしてソラの方を向くと、

ソラも同様に、何かに気づいたっていう表情であたしを見ていた。


……そう。

さっきあたしたちが車道に飛び出したとき、先方にタクシーが1台止まっていた。

あの時、あたしたちはタクシーの姿を見つけて思わず逆方向へ逃げ出したけれど、

きっと、キラはあのタクシーに乗る予定だったんだ……。



ううん。

キラはもう、あの場にいたのかもしれない。

そして、あたしたちの様子を、タクシーの中から見ていたのかも知れない……。


だって、ペンションと車道を繋いでいるのは、あたしたちが通った山道1本だけだ。

だけどあたしたちは、行きも帰りも、誰にも会うことはなかった。


……だとしたら、キラはあたしたちよりも先に車道に出ていたことになる──。


真っ暗闇のなか、

タクシーの後部座席から後ろを振り返るキラ……。

キッチンで見せた狂気混じりの冷たい目を光らせて、あたしとソラを見つめるキラ……。



まるでキラがすぐ後ろであたしを睨んでいるような気がして、

ゾクッと。

あたしの背筋が凍り付いた。



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