ウソ★スキ
そんなあたしの目の前で、先輩はリダイヤルボタンを押してタクシー会社に電話をかけた。
「……ええ、さっきこの電話から車を1台お願いしたんですが……連れが携帯を忘れて帰っちゃったんですよ。ええ、ええ。……それで、何とかして連絡を取りたいんですが……まだそちらのタクシーに乗っていないでしょうか?」
そんな嘘を上手につきながら。
先輩は言葉巧みにキラの乗ったタクシーについての情報を引き出していった。
「……駄目だ、やっぱりキラちゃんはとっくにタクシーを降りてる」
電話を切ると、先輩は悔しそうに言った。
「キラちゃんを乗せたタクシーは、キラちゃんをふもとの駅前で下ろしたあと、今でも駅前で待機中らしい」
──キラは、駅前にいるんだ。
少なくとも、何もないこの辺りよりも、ずっと安全だ……。
「ソラ、駅前まで出ればビジネスホテルだってあるし帰りの夜行バスもまだ出てるはずだ。……キラちゃんは大丈夫だよ」
そう言う先輩に、
「簡単に言うな!」
ソラが怒鳴り声を上げた。
「……あいつは、夜が怖いんだ。俺がいないと、ダメなんだ……」
「……ええ、さっきこの電話から車を1台お願いしたんですが……連れが携帯を忘れて帰っちゃったんですよ。ええ、ええ。……それで、何とかして連絡を取りたいんですが……まだそちらのタクシーに乗っていないでしょうか?」
そんな嘘を上手につきながら。
先輩は言葉巧みにキラの乗ったタクシーについての情報を引き出していった。
「……駄目だ、やっぱりキラちゃんはとっくにタクシーを降りてる」
電話を切ると、先輩は悔しそうに言った。
「キラちゃんを乗せたタクシーは、キラちゃんをふもとの駅前で下ろしたあと、今でも駅前で待機中らしい」
──キラは、駅前にいるんだ。
少なくとも、何もないこの辺りよりも、ずっと安全だ……。
「ソラ、駅前まで出ればビジネスホテルだってあるし帰りの夜行バスもまだ出てるはずだ。……キラちゃんは大丈夫だよ」
そう言う先輩に、
「簡単に言うな!」
ソラが怒鳴り声を上げた。
「……あいつは、夜が怖いんだ。俺がいないと、ダメなんだ……」