ウソ★スキ
翌朝。
誰かが言い出したっていうわけではなかったけれど、
あたしたちは、外が明るくなる前に、荷物を持ってリビングに集合していた。
そして、朝食の準備をするためにペンションへやって来た管理人夫婦に
「あちこち観光地を回って帰りたいから、朝食は外で食べる」
という嘘をついて食事を断ると、予定よりもかなり早くペンションを後にした。
帰りのバスでも、電車でも、あたしたちは話をしなかった。
誰もが寝不足だったはずなのに、誰1人居眠りをせず、じっと腕を組んで考え事をしたままで……。
こうして、あたしたちの旅行は最悪な形で幕を閉じた。
そしてこれが、最初で最後の
親友との旅行になってしまった──。