ウソ★スキ
「……ちょっとだけでいいの」

「俺は行かないって言ってるだろ!」


今度は、視線をあたしからドアに移して、大きな声で。

ソラは叫んだ。


その声に驚いたのか、キラが大きな足音を立てて自分の部屋に戻っていく。

バタン!と激しい音を立ててキラの部屋のドアが閉められると、その勢いでソラの部屋の窓がガタンと揺れた。


あたしは慌てて立ち上がると、ソラの手を引っ張った。

「ソラ! 早く、キラのとこに行って!」

「いやだ……」

「だって、せっかくキラが部屋から出てきたんだよ!?」


あたしの目の前には、無表情のソラの顔があった。

冷たい瞳が、あたしをじっと見つめている。

その表情はどこかキラと重なって、あたしはドキっとしてしまった。


そして──

「いいの?」

「……え?」

「俺が本当にキラの部屋に行っても、美夕はいいの?」



あたしは何も言えなかった。

ただ、言葉の代わりに、次々と涙が零れるばかりで。


ソラが立ち上がって、温かい手であたしの頬に優しく触れる。

だけどあたしはびくっと体を引きつらせて、思わず体を後ろに引いてしまった。








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