ウソ★スキ
「……俺にどうしろって言うんだ?」

ソラが小さく、一人言のように呟く。


「だって……普通になんて、出来ない……。ソラには分からないよ」


自分の好きな人が、

他の人を見つめている。

他の人に触れている。


それはあたしが今までずっと目を背けてきた、キラとソラの姿だった。

それなのに、

その辛さを知っているくせに、

あたしは今、キラの目の前で、同じことをしようとしているんだ……



「やっぱり……こんなの無理……」


「何だよ、それ」

ソラに、肩をがっしりと掴まれる。

「あの夜……美夕はそういうことを全部分かった上で、それで覚悟決めてくれたんじゃなかったのか?」

「それはそうだけど」

「だったらどうして──!?」



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