ウソ★スキ
だんだん大きくなるソラの声に、あたしは肩をビクッと震わせた。


「……もういい」

あたしが脅えているのに気づいたのか、ソラはあたしの肩から手を離すと、そのまま後ろにあるベッドに身を投げた。


「……キラが俺たちのことを許さなかったら、いつまでもこうなの?」


あたしも、崩れ落ちるようにベッドの傍に座り込んだ。


「美夕がもっと堂々としないと、キラのこと説得なんて出来ないだろ?」

「……うん……ごめん……」


「俺、美夕に何を言われても、ここにいるから」

「……」

「キラのとこには、行かないから」




あたしは、必至にソラを探した。


泣きすぎて、とっくに目は開かなくなってしまっていたけれど、

あたしは必死に手を伸ばして、シーツの上に指を這わせて、ソラの温もりを探した。


そしてようやく指先に、ソラの足が触れた。


あたしは更に指を伸ばして、ソラの足をぎゅっと強く握った。

それはきっと爪の跡がついてしまうくらいの強さだったけれど、ソラは決して痛がらずに、じっとしていてくれて……


あたしは小さく何度も「ゴメンね」って言いながら、泣き続けた。



せっかくソラに想いが通じたって言うのに、あたしは泣いてばかりだ。


こんな想いをするくらいなら、まだ片思いをしていた方が楽だ──。


あの頃に戻りたい。


そんなことはできないって分かっているくせに、


あたしはそんなことを願ってしまった。




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