ウソ★スキ
キラの家を出て、真っ暗になった道を歩いていると、

大事なことを思い出したかのように、あたしの腰の傷が疼き始めた。



「痛い……」

あたしはスカートの上から、その傷をぎゅっと押さえつけた。



あたしの家がある団地の入り口には、小さな公園がある。

あたしは誰もいないその公園に入ると、錆びてぼろぼろになったブランコに座った。


空を見上げると、綺麗な満月。

月の光はいつもにも増してまぶしく輝いていた。


そんな特別な月明かりは、

きっと今、世界中で一番惨めなあたしの姿を、

くっきりはっきりと照らし出している……。




──あたし、惨めだ。



あたしは光の届かない場所へ逃げてしまいたくなった。




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