ウソ★スキ
その日家に帰ってから、あたしは携帯を片時も手放さなかった。

夕食の時も。
あたしは一口ご飯を口に運ぶたびに箸を箸置きに戻し、代わりにテーブルに置いた携帯を手にとって、例の掲示板にアクセスし続けた。

ママが耳元で

「いい加減にしないと、携帯取り上げるわよ!」

って口やかましく言っていたけれど、あたしにはママのそんな小言に耳を傾けている余裕なんてなくて。


もともと食欲なんてなかったし。

あたしはその日の晩ご飯を半分以上残して自分の部屋に引きあげた。




ソラはキラの説得に手こずってるのかな?

掲示板からは、何時になっても2人の写真が消えることはなかった。



──一度起きてしまった出来事を悔やんでも、何の解決にもならない。

だからせめて、一刻も早くこの騒ぎが収まりますように。


お願い、神様……。


非力なあたしにできるのは、ただ祈ることだけだった。




だけど、そんなあたしの願が神様に届くことはなかった。


事態が更に悪化したのは、その日の夜更けのことだった。


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