ウソ★スキ
「ごめん……ごめんね……」

「いいよ、気にしないで」

あたしは急いでソラの隣に戻った。

「美夕、無理しないでいいから」

「無理じゃないもん!」



あたしはソラの腕に自分の身体を押しつけた。

そして、顔をソラの身体に埋めたまま、左手だけを伸ばしてソラの右手を探す。

だけどどうして?

さっき公園ではあんなに温かく感じられたソラの手が、今はなかなか見つからない。



背後から、まだ女の子たちの声が聞こえていた。



「一緒にいたら美夕も騒がれるから。少し離れてたほうが……」

「いやだ、あたしはここにいる!」


自分でも、そう言いながら体が震えているのがよく分かった。

だけど。


「あたしの場所は、ここだから!」


そうだよ……

ここはやっと手に入れた、あたしの定位置なんだから……


そう自分に言い聞かせたところで、ようやくあたしの左手がソラの右手を捕まえた。


もう、二度と離さないように。

あたしはそれを、ぎゅっと強く握った。




< 470 / 667 >

この作品をシェア

pagetop