ウソ★スキ
イヤだ。
もうこれ以上、ソラを追い詰めるような話を聞かせたくない──


あたしは慌てて先輩の腕を掴んだ。

「先輩やめて! そのことはもういいから……っ」

「いや、よくないんだ」

だけど、先輩は話をやめてくれなかった。


「ソラ、お前はどれだけ美夕ちゃんに我慢させれば気が済むんだ?」

ソラが、先輩を真っ直ぐ見据えたまま、ゆっくりとあたしたちの方へ近付く。

「……何が言いたいんですか?」

「美夕ちゃんがどれだけ頑張ってるか、お前は本当に分かってるのか? さっきも学校で例の掲示板の件で絡まれたっていうのに、そんな時でも美夕ちゃんはキラちゃんのことを庇ったんだぞ」

「……それ、本当なの?」

ソラはあたしのすぐ目の前まで来ていたけれど、そんなソラの顔を見るのが辛くて。

あたしはソラから目を逸らしたまま、ひとつ小さく頷いた。


「美夕、ごめんな……」

ソラの手が、あたしの顔に触れようと伸びる。


だけどソラの手は先輩に捕まれて、あたしの目の前で止まってしまった。


「美夕ちゃんに触るな」




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