ウソ★スキ
「今日みたいなことが続けば、いつか美夕ちゃんまで騒ぎに巻き込まれるかも知れないんだぞ? お前はそれでも平気なのか?」


視線を先輩からソラへ移すと、ソラは唇を噛み締めて先輩を睨みつけていた。

その目は、先輩に負けないくらい冷ややかだった。


「明日から美夕ちゃんのことは俺が送り迎えする。──別に、こんな時にアンフェアなことをしようなんて思っちゃいないから安心しろ。俺の役目は噂が落ち着くまでの間だけだ」

「……」

「いいな、ソラ。本当に美夕ちゃんの幸せを考えるんだったら、しばらく美夕ちゃんには近寄るな」

「……」



お願い、ソラ。

何か言って?


あの夜ペンションで言ってくれたみたいに、

あたしのことは自分が守るから先輩の助けなんて必要ないって、


先輩に、早くそう言って……!



「何もそばにいることだけが『守る』ってことじゃないんだ。本当に美夕ちゃんのことが大切なら、それくらい出来るよな?」


……だけど、ソラは黙ったままだった。



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