ウソ★スキ
ソラは何も言い返さないって、先輩もそう思ったんだろう。

「俺は外で待ってるから、ソラとゆっくり話したらいい。その後家まで送っていくよ」


先輩はソラの返事を待たずに、あたしの肩をぽんと叩いて先に部屋を出て行ってしまった。


そして静かな部屋に、先輩が階段を下りる足音だけが聞こえる──


「ソラ、どうして……どうして何も言い返してくれなかったの?」

「美夕だって反論しなかったじゃないか」

「それは……」


それは、ソラに否定して欲しかったからだよ……。

あたしたちは大丈夫、間違っていないんだって言って欲しかっただけなのに……。


ソラは、悲しそうな笑顔を見せてくれた後、あたしに背中を向けた。

そして再び窓際に向かって歩きながら、こう呟いた。


「先輩が言ったこと、図星だったんだろ?」


違う。

違うよ……。


「……仕方ないよな。俺、確かに美夕のことを苦しめて、こうして怪我までさせて……まったく、先輩の言うとおりだ」

「違うよ!」

「いいんだ、無理しなくても。俺は美夕に何もしてやれない。幸せにしてやるどころか、助けてやることだって……」

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