ウソ★スキ



しばらく沈黙が続いた後、ソラから返ってきた言葉は

「ゴメン」

その一言だけだった。



ソラはゆっくりとあたしの肩から手を離した。

「俺だって美夕のこと抱きたいって思うけど、今は無理だ。外で先輩も待ってるし、隣にはキラだっている……」

そんな冷静なことを言われて、あたしの顔は恥ずかしさで一気に赤くなった。

「美夕のことを大事にしたいから、ダメなんだ。分かってくれる?」


恥ずかしくて、
哀しそうなソラの顔をこれ以上見ていられなくて。

あたしは何も言えずにただ俯いた。


「それに、今でも会えなくなるのが辛いっていうのに、そんなことしたら余計離れたくなくなって、お互い辛くなるだけだろ?」


そんなこと言われても、簡単に「うん」なんて言えないよ……。

あたしは小さく首を横に振った。


「美夕……」

ため息混じりであたしを呼ぶソラ。


……なにこれ。

何となく予想できた展開だけど、
本当に拒絶されて、冷静に説得されて……

あたし、格好悪い。

これじゃ涙も出やしないよ……。




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