ウソ★スキ
「知ってる? 例の掲示板、復活したんだよ」

先輩は片手で自分の携帯を開くと、あたしにそれを手渡してくれた。


画面には、イヤになるくらい何度も何度も見た掲示板が、再び表示されている。


「もちろん、あの記事は消されてるけどね」

確かに、画面を一番下までスクロールしても、

過去の記事に遡っても、

そこには楽しい恋人自慢が繰り広げられているだけで、どこにもキラの投稿は見当たらなかった。

「……嵐は去った、って感じだね」



確かに。
掲示板には穏やかな日常が戻ってきたのかも知れない。

だけどまだ、学校や朝のバスで、キラとソラの名前を聞かない日はなかった。



あたしは携帯を先輩に返しながら言った。


「どうすれば、この騒ぎは完全に収まるんでしょう?」

「……待つしかないんじゃないかな」

「あたしにできることは?」


先輩はうーん、って考えた後、

「出来るとすれば……もっと面白いネタを、コイツ等に提供すること、かな?」

掲示板が表示されたままのディスプレイを指で弾いて、そう吐き捨てた。

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