ウソ★スキ
だけどそんな日に限って、帰りのバスでソラと一緒になる。


帰りはソラと一緒のバスになることのほうが少ないから、

朝と違って、あたしとキラは並んで座ったり、通路に立って話をするんだけど。


今日は違った。


キラは、朝の二人の『定位置』に先に乗っていたソラの姿を見つけた途端、

人目もはばからずソラに飛びついた。


「どうしたんだ?」


キラに抱きつかれて、焦るソラ。


だって、キラの表情は、姉弟のものじゃなかったんだ。

キラはすっかり女の顔になっていて、


やっぱりどうしていいか分からずに入り口のドア付近で立ち止まっていたあたしの方を

一瞬だけチラ見した。



……やだ。

そんな顔で見ないでよ。

なんかあたし、悪いことしたみたいじゃん……。



あたしはそのまま2人に背を向けると、バスの外の景色を眺めた。


できるだけ、2人のことは考えたくなかった。


見たくもなかった。


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