ウソ★スキ
だけど─
先輩の指があたしの体を下りていって、もう少しで腰に触れようとしたとき。
「駄目!」
思わずあたしは体を強ばらせて、先輩を拒んでしまった。
まるで『その部分』を隠すように、体を小さく縮こませて──
先輩が触れようとしたのは、あたしが5年前に「ソラ」って名前を彫った場所だった。
もう、どんなに注意して見ても、そこに「ソラ」という文字はない。
ただ、「ソ」の一画目。
力の加減が分からずに何度も何度も重ねて掘ったせいで深い傷になったその部分だけが、白い跡になって残っているだけだった。
だけど、そんな事情をすべて知っていた先輩は、
「ソラの奴……まだこんなところで美夕ちゃんを守ってるつもりか……」
って寂しそうに呟くと、静かにあたしの体から離れていった。
そして、泣きながら何度も謝り続けるあたしに、優しく服を着せてくれた。
先輩は変わらず優しかったし、決して怒ることも嫌そうな顔をすることも無かったけれど。
……それから、あたしたちの「別れ話」が始まった。
先輩の指があたしの体を下りていって、もう少しで腰に触れようとしたとき。
「駄目!」
思わずあたしは体を強ばらせて、先輩を拒んでしまった。
まるで『その部分』を隠すように、体を小さく縮こませて──
先輩が触れようとしたのは、あたしが5年前に「ソラ」って名前を彫った場所だった。
もう、どんなに注意して見ても、そこに「ソラ」という文字はない。
ただ、「ソ」の一画目。
力の加減が分からずに何度も何度も重ねて掘ったせいで深い傷になったその部分だけが、白い跡になって残っているだけだった。
だけど、そんな事情をすべて知っていた先輩は、
「ソラの奴……まだこんなところで美夕ちゃんを守ってるつもりか……」
って寂しそうに呟くと、静かにあたしの体から離れていった。
そして、泣きながら何度も謝り続けるあたしに、優しく服を着せてくれた。
先輩は変わらず優しかったし、決して怒ることも嫌そうな顔をすることも無かったけれど。
……それから、あたしたちの「別れ話」が始まった。