ウソ★スキ
先輩に預けていたアパートの合鍵は、別れたその日にあたしの元へ戻ってきた。
それ以来、先輩がこの部屋に来ることはなくなったけれど、
それでも電話やメールのやりとりだけは定期的に続けていた。
先輩はよく言ってくれた。
「美夕ちゃんの幸せを見届けるって約束だけは、何があっても果たすからね」
だけどその言葉の響きは明らかにそれまでとは違っていて。
もう、『恋人』でも『恋人のフリ』でもない。
そのどちらなのかって悩む必要もない。
だけど、恋や愛ではなくても、決して縁を切ることのできない大事な相手。
あたしたちはそんな、不思議な関係だった。
「ハイ、これで酔いを覚まして」
氷水で冷やした濡れタオルを渡すと、先輩は気持ちよさそうにそれで顔を覆った。
「そういえば……美夕ちゃん、就職決まったの?」
「ううん、まだ」
「やっぱりこの町に残るつもり?」
「……残りたいんだけど、ここは就職先も少ないし、どうしようか迷ってて」
あれから5年も経つって言うのに、どこかで双子がこの町に帰ってくるのを待っている私。
最後にソラと別れた駅のすぐそばに住んで、
就職先もないっていうのに、この町に残ることにこだわって。
「そうか。やっぱり、まだ……」
その全てを知っている先輩が、小さくぽつりと呟いた。
それ以来、先輩がこの部屋に来ることはなくなったけれど、
それでも電話やメールのやりとりだけは定期的に続けていた。
先輩はよく言ってくれた。
「美夕ちゃんの幸せを見届けるって約束だけは、何があっても果たすからね」
だけどその言葉の響きは明らかにそれまでとは違っていて。
もう、『恋人』でも『恋人のフリ』でもない。
そのどちらなのかって悩む必要もない。
だけど、恋や愛ではなくても、決して縁を切ることのできない大事な相手。
あたしたちはそんな、不思議な関係だった。
「ハイ、これで酔いを覚まして」
氷水で冷やした濡れタオルを渡すと、先輩は気持ちよさそうにそれで顔を覆った。
「そういえば……美夕ちゃん、就職決まったの?」
「ううん、まだ」
「やっぱりこの町に残るつもり?」
「……残りたいんだけど、ここは就職先も少ないし、どうしようか迷ってて」
あれから5年も経つって言うのに、どこかで双子がこの町に帰ってくるのを待っている私。
最後にソラと別れた駅のすぐそばに住んで、
就職先もないっていうのに、この町に残ることにこだわって。
「そうか。やっぱり、まだ……」
その全てを知っている先輩が、小さくぽつりと呟いた。