ウソ★スキ
「……やだなぁ、もう。先輩ってば本当に苑ちゃんが大好きなんだから」

そんなあたしの照れ隠しの言葉に、

先輩は

「当たり前だよ!」

って言った後、


「だからって、どう転んでも苑に恋愛感情なんて芽生えないけどね」


少しイヤミっぽく、笑った。




「ねえ、美夕ちゃん。あの2人……キラとソラは、本人たちが気付いていなかっただけで、本当は恋愛よりもっと深いところでお互いを求めていたと思うんだ。だって生まれる前、親のお腹の中にいる時から一緒だったんだからね」

「……うん」



「だからね、ソラが初めて恋をした相手は、やっぱり美夕ちゃんだったと思うんだ」



先輩はあたしに「これ、ありがと」ってタオルを手渡すと、大きく息を吐きながらソファに横になった。


話を終えて目を閉じた先輩は、きっと、あたしが泣いていたことには気付いていない。



……イヤだな。

あれから5年も経つって言うのに、

「ソラ」っていう言葉に、どうしてあたしの涙腺はこうも敏感に反応するんだろう。


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