ウソ★スキ
その写真は、どこかのビルの屋上から夜明け前の空を撮影したものだった。
まだ薄暗い空。
その中央には、小さな星がふたつ。
寄り添うように並んだふたつの星は、とてもとても小さいのに、空の真ん中で白く明るい輝きを放っていた──
スチールの、飾り気のないシンプルなフレームに納められたその写真のすぐそばに立ってじっとそれを見つめていると、
……何故だろう?
分からないけれど、涙が零れて。
あたしの頬を、涙が次々と伝って。
あたしは、フレームの下に書かれた文字を震える指でそっとなぞった。
『我が希望』
そんなタイトルの下には、
ずいぶん古い撮影日と、
よく知っている撮影者の名前が書かれてあった。
「……あぁ……」
思わず口から漏れる声も震えてしまう。
そこに刻まれていたのは、
ソラとキラのお父さんの名前。
そして、双子が生まれた日付だった。
その時、奥からキュッと蛇口を絞る音が聞こえてきた。
そして、ずっと聞こえていた水の音が消えたかと思うと、かわりに長靴のゴムのキュッキュッと言う音が近付いて。
そして間もなく、厨房用の白衣を来た女性が店内に姿を現した。
「いらっしゃいませ」
だけど。
声を聞く前から、あたしにはその声の持ち主が誰か分かっていた。
あたしはそれを確かめるために、ゆっくりと声のする方を向いた。
「……美夕?」
あたしの予想通りだ。
そこに立っていたのは、キラだった。
まだ薄暗い空。
その中央には、小さな星がふたつ。
寄り添うように並んだふたつの星は、とてもとても小さいのに、空の真ん中で白く明るい輝きを放っていた──
スチールの、飾り気のないシンプルなフレームに納められたその写真のすぐそばに立ってじっとそれを見つめていると、
……何故だろう?
分からないけれど、涙が零れて。
あたしの頬を、涙が次々と伝って。
あたしは、フレームの下に書かれた文字を震える指でそっとなぞった。
『我が希望』
そんなタイトルの下には、
ずいぶん古い撮影日と、
よく知っている撮影者の名前が書かれてあった。
「……あぁ……」
思わず口から漏れる声も震えてしまう。
そこに刻まれていたのは、
ソラとキラのお父さんの名前。
そして、双子が生まれた日付だった。
その時、奥からキュッと蛇口を絞る音が聞こえてきた。
そして、ずっと聞こえていた水の音が消えたかと思うと、かわりに長靴のゴムのキュッキュッと言う音が近付いて。
そして間もなく、厨房用の白衣を来た女性が店内に姿を現した。
「いらっしゃいませ」
だけど。
声を聞く前から、あたしにはその声の持ち主が誰か分かっていた。
あたしはそれを確かめるために、ゆっくりと声のする方を向いた。
「……美夕?」
あたしの予想通りだ。
そこに立っていたのは、キラだった。