ウソ★スキ
思わず悲鳴を上げそうになって、あたしは震える手で自分の口を塞いだ。


ソラが……薬物中毒!?

あたしは、目眩で倒れそうになる自分の体を、レジカウンターに手をついて必死に支えた。



「ペンションに着いても、ソラはリビングのソファに座ったまま何も話そうとしなかった。どこか遠くを見つめたままで……。私は、それでも、やっとソラの隣に戻れて幸せだったの。だけど……隣にいるはずなのに、ソラは遠かった」


そこでようやく、キラがあたしの方を向いてくれた。


「ソラね、私の隣で、消えそうな声で、何回も美夕の名前を呟いてたよ。……ソラは駅で美夕と別れてからずっと、ずっと……美夕のことだけを考えていたんだと思う」


キラは……

そう言うキラは……


「やっとソラと2人に戻れたと思ったのに。……ソラの心の中にもう私はいないんだって、思い知らされちゃった」


今にも泣き出しそうな、笑顔だった。
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