ウソ★スキ
「それに、ソラがそうだったように、一度に大量の薬を飲むと、身体が『これは異物だ!』って薬に反応して、それを体の外に追い出そうとするの」


キラは自分の掌をじっと見つめながら続けた。


「おかしいよね。どんなに頭で『生きるのがイヤだ、もう死にたい』って思っても、体はその瞬間も生きるために動き続けているんだから。……辛いもんだよ。恨みとか、妬みとか、絶望とか……自分の体を流れる血がどんなに黒く汚れても、その血は体中を巡り続けて……支配され続けて……」


それはきっと、キラの経験からくる言葉なんだろう。

そんな一言一言はとても重くて、とてもリアリティがあった。


「それでも、生きなきゃいけないってことなんだよ、ね」


キラが掌をぎゅっと握り締めると、か細い手首に血管が浮き上がって見える。

青く見えるその血管にも、今この瞬間だって血が流れ続けているんだ──



「ソラだって、明日があるから今日は眠りたいんだって、そう思っていたに違いない。死ぬ気なんて、絶対になかったはずだよ」



< 597 / 667 >

この作品をシェア

pagetop