ウソ★スキ
キラがソラのことを「絶対」ってつけて語ると、間違いなくそうだって思えるから不思議だ。


……それは、たとえば5年前のあの日。

行き先を知らされていなかったはずのキラが、見事に駅のホームでソラを見つけ出してしまったように。

理屈なんかじゃない。

キラはソラのことを、誰よりも、本能で理解している気がした。


「……うん、そうだね」

だから、あたしは答えた。

「あたしも、ソラは自殺するつもりなんてなかったって、信じてる」



そして、キラの話は続く。

「私が次に目を覚ましたのは朝方だったんだけど、その時にはもう、シートの薬は全部無くなっていたの」

「それで……ソラは?」

「目を閉じてた」

「眠ってたの?」

「分からない。寝息も聞こえないくらい静かだったし、あとから思えば顔色が悪かったような気もする。……もしかすると薬の中毒症状が出ていたのかも」

キラはその時の様子を思い出したのか、辛そうに目をつぶった。

「……でもね、私はソラを起こして無事を確認しようとは思わなかったんだ。ただ、そっとしてあげたかったの。せっかく眠れたのに、また起こして苦しませたくなくて……」

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