ウソ★スキ
「退院後、実家に戻ったのは私だけだった。私は親のお店を手伝いながら、定時制の高校に通って。ずっと皿洗いだけだったんだけど、やっと今年の春からここで包丁を持たせてもらえるようになったのよ」
キラはそう言うと、まるで勲章を自慢するみたいに、絆創膏だらけの手をあたしに見せてくれた。
そして、とっても穏やかな表情であたしを見つめて。
「ねえ、美夕はこの5年間、幸せだった?」
「……え?」
「……って、聞くまでもないか。幸せだったから、先輩と結婚できるんだよね」
キラは椅子から立ち上がってあたしの前まで来ると、「よいしょ」って呟きながら、あたしと同じ目線になるように膝を折って、身体を屈めた。
「……私がこんなこと言えた義理じゃないけど、一言言わせて。美夕、おめでとう」
そう言って、あたしの目の前に手を差し出すキラ。
「さっき美夕がソラの心配をしてくれたこと、本当に嬉しかった」
「……」
「でもね、この5年間、ソラは一度も私たちに連絡をくれなかった。それが、ソラの出した『答え』だと思うの。……だから」
キラは手を伸ばすと、強引にあたしの手を握った。
「私やソラのことはもう忘れて、幸せになって」
キラはそう言うと、まるで勲章を自慢するみたいに、絆創膏だらけの手をあたしに見せてくれた。
そして、とっても穏やかな表情であたしを見つめて。
「ねえ、美夕はこの5年間、幸せだった?」
「……え?」
「……って、聞くまでもないか。幸せだったから、先輩と結婚できるんだよね」
キラは椅子から立ち上がってあたしの前まで来ると、「よいしょ」って呟きながら、あたしと同じ目線になるように膝を折って、身体を屈めた。
「……私がこんなこと言えた義理じゃないけど、一言言わせて。美夕、おめでとう」
そう言って、あたしの目の前に手を差し出すキラ。
「さっき美夕がソラの心配をしてくれたこと、本当に嬉しかった」
「……」
「でもね、この5年間、ソラは一度も私たちに連絡をくれなかった。それが、ソラの出した『答え』だと思うの。……だから」
キラは手を伸ばすと、強引にあたしの手を握った。
「私やソラのことはもう忘れて、幸せになって」