ウソ★スキ
背後で、チャペルの鐘が鳴り響いていた。
その時計は、ちょうど10時を指している。
気付くともう、バイトが始まる時間だった。
「……急がないと」
でも、それでも、あたしの足は動かなかった。
あたしは大きくゆっくりと揺れるチャペルの鐘を見上げた。
青空に響きわたる、まるで幸せの象徴のようなその音色に、あたしは目眩がしそうだった。
あたしもいつか誰かを好きになって、
その人と幸せな家庭を築く日が来るんだろうか?
そして、
『ママは若い頃、大恋愛をしたのよ。……パパには内緒だけどね』
なんて昔を懐かしみながら、自分の子供にソラとの出来事を聞かせたりするんだろうか?
そんな風に、ソラとの恋を『過去』にすることが出来る日が来るのかな……?
目の前の信号が、再び赤に変わった。
「そんなの……無理だよ」
信号はいつだって赤で。
あたしはいつまでも前に進めないままで。
あたしの信号はいつになったら青になるのかな?
ねえ、ソラ。
教えてよ。
5年前から止まったままのあたしの時間は、
一体どうすれば、再び動き始めるんだろう──
その時計は、ちょうど10時を指している。
気付くともう、バイトが始まる時間だった。
「……急がないと」
でも、それでも、あたしの足は動かなかった。
あたしは大きくゆっくりと揺れるチャペルの鐘を見上げた。
青空に響きわたる、まるで幸せの象徴のようなその音色に、あたしは目眩がしそうだった。
あたしもいつか誰かを好きになって、
その人と幸せな家庭を築く日が来るんだろうか?
そして、
『ママは若い頃、大恋愛をしたのよ。……パパには内緒だけどね』
なんて昔を懐かしみながら、自分の子供にソラとの出来事を聞かせたりするんだろうか?
そんな風に、ソラとの恋を『過去』にすることが出来る日が来るのかな……?
目の前の信号が、再び赤に変わった。
「そんなの……無理だよ」
信号はいつだって赤で。
あたしはいつまでも前に進めないままで。
あたしの信号はいつになったら青になるのかな?
ねえ、ソラ。
教えてよ。
5年前から止まったままのあたしの時間は、
一体どうすれば、再び動き始めるんだろう──