ウソ★スキ
「それにね。盗聴して分かったことは他にもあるんだ」

「……どんなこと?」


「うちの親ってば、毎晩私たちの話をするの。……っていうか、私たちのことばっかり。ソラは今頃どうしてるだろうとか、私は仕事を真面目にやっているのかとか。私たちが小さな頃のこともよく覚えててね……」


キラは少し困ったような、だけど嬉しそうな表情を見せた。


「おかしいでしょ? 会社の決算が近いっていうのに、少しは会社の心配をしなさいよ! って突っ込みたくなるんだから」



思えば、この前お店で見た写真にも、2人のお父さんの愛情がいっぱい詰まっていた。


キラたちの両親は、お店が忙しすぎて、自分の子供には関心がないと思っていたのに。

……そんなの大ハズレ。

2人とも、しっかり愛されてるんだ。


そう思ったら、あたしまで頬が緩んで。


「キラ、良かったね」


「こんな分かりにくい愛情、ありがた迷惑だってば!」

キラは照れくさそうに笑った。



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