ウソ★スキ
「お前、すっげえ芝居うまいよな」

どうやらソラの怒りは、すべてあたしに向けられているようだった。


多分……キラのことは怒れないんだろう。

自分の好きな人だから……。



「そうだよな、美夕が好きなのは徹先輩だったよな……」

ソラが笑った気がした。


「……ソラ?」

あたしは顔を上げて、ソラを見つめた。

ソラは、あたしの方をじっと、まっすぐ、見ていた。


「本気で悩んだりして、俺、バカみてー」


それだけ言うと、ソラはキラの部屋から出ていった。


静まり返った部屋に、ソラが階段をかけ降りる音が響く。



キラは、ずっと、固まったままだった…………


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