ウソ★スキ
制服姿のままで地元の街を歩くのは、なにかと面倒くさい。


あたしたちが住んでいるのは、どちらかというと田舎町。

こんな時間にブラブラしていたら、

あっという間に小さなころから顔見知りのおじさんやおばさんに見つかって、

間違いなく

「キラちゃんと美夕ちゃん、学校はどうしたの?」

って余計なおせっかいをやいてくるのは目に見えている。



……あたしたちは、結局、キラの家に帰っていった。


家の鍵はあいていた。

「パパとママ、帰ってるみたい」

だけどキラは「ただいま」も言わずに家へあがる。

キラの両親も、リビングにいるはずなのに、黙ってその場を横切るキラに声をかけようとしなかった。


「美夕も、早くあがって」

キラはこっちを振り返ってそう言うと、

キラとソラの部屋がある2階へ先に消えてしまった。



「おじゃましまぁす……」

あたしは小さく呟いて、そんなキラのあとを追いかけた。


< 9 / 667 >

この作品をシェア

pagetop