ウソ★スキ
あたし達の目の前で、バスの扉が開く。


ソラは笑って言った。

「ほら、先に乗って。レディーファースト」

そう言って、先にキラを乗せる。


……ソラと一瞬だけ目があって、あたしはドキッとした。


だけど、ソラは土曜日のことなんて何もなかったかのように、

あたしにも変わらない笑顔を見せたんだ。


「早く、美夕も乗って」


「う、うん……」

キラに続いてバスに乗るのを躊躇っていたあたしは、


そう言われるがままにバスへ乗り込んだ。



そして、そのあとをソラが続く。





…………そのとき。

それは、絶対に気のせいじゃない。


ソラが、ほんの一瞬だけど、

後ろから手を伸ばしてあたしの腰に触れたんだ。



あの傷と、ソラがつけたキスマークのちょうど上のあたりを……。


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