【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
ねねさまがわたしを訪ねてきたのは、もうすっかり城での生活に慣れた頃だった。


ようやく許可が下りた。


それが正しいようだけれど。


久々のねねさまに、わたしの気持ちも高揚した。


「不自由なことはありませぬか」


以前と変わらず、わたしのことを気遣ってくれるねねさま。


少し憂いを帯びた表情は、いっそう美しく見えた。


「何も。良くしてもらってます」


「そう。あなたのことを聞こうと思っても、なかなか話してくれる者がいなくて。心配していたのですよ。ここではやはり下働きを?」


「いいえ。信長さま……殿の身の回りのお世話をするようにと言われて。殿の話し相手などをしています」


「まあ……」


ねねさまは意外そうに声を上げると、半ば目を伏せ、言いにくそうに切り出した。


「……では噂はまことでしょうか……」


「噂?どのような噂ですか?」





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