【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
ひとり悶々とするわたしを見て尼さまは小さく笑うと、
「風が、出てきたわ」
と独り言のように呟いた。
答えの出ない思考に諦めをつけ立ち上がると、わたしは閉めきっていた障子を開けた。
途端にひゅーと風が吹き込んできた。
その風は文机の上の紙をはらはらと舞わせた。
「まあ。これは野分けの風ね」
紙を拾いながら尼さまは空を見上げている。
「野分け……」
「この時期になると渦を巻くような雲が時折やって来て、強い風雨をもたらすでしょう。それを野分けというのよ」
しばらく風の様子を眺めていると、寺の下男たちが出てきて、庭木に紐を渡したり雨戸を閉めたりと、激しい風雨への備えを始めた。
「わたしも何かしたほうが?」
「そうね。炊事などは早めにやっておいた方がいいかもしれないわ」
その言葉を受け、わたしは台所へと向かった。
「風が、出てきたわ」
と独り言のように呟いた。
答えの出ない思考に諦めをつけ立ち上がると、わたしは閉めきっていた障子を開けた。
途端にひゅーと風が吹き込んできた。
その風は文机の上の紙をはらはらと舞わせた。
「まあ。これは野分けの風ね」
紙を拾いながら尼さまは空を見上げている。
「野分け……」
「この時期になると渦を巻くような雲が時折やって来て、強い風雨をもたらすでしょう。それを野分けというのよ」
しばらく風の様子を眺めていると、寺の下男たちが出てきて、庭木に紐を渡したり雨戸を閉めたりと、激しい風雨への備えを始めた。
「わたしも何かしたほうが?」
「そうね。炊事などは早めにやっておいた方がいいかもしれないわ」
その言葉を受け、わたしは台所へと向かった。