【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
血の滲んだ裸足の足を重たげに前に出し、なんとか前に進んでいる。


薄汚れた顔に、落ち窪んだ目。


もしかすると一見しただけでは、わたしが女か男かも分からないんじゃないかな。


そう思うと変におかしくなって、わたしはくすくすと笑った。


まだ笑う気力はあるのか。


そんなことを思いながら。


朝から何も食べていないのにね。


傍から見れば、笑ったようには見えていないかもしれない。


だって。


ほら。


あそこの子供が、身なりのいい子供が、わたしを気味悪そうに見て泣き出してしまったもの。


骨と皮だけの、ドクロのようなわたしだもの。


笑ったように見えなくても仕方ない。


だって。


誰も、わたしに食べ物を恵んでくれないんだ。



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