【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
市場に食べ物を求めてやって来ても、ありつけない、ということのほうが多い。


落ちてる大根の葉っぱでもいい。


なんだっていいんだ。


少しでも、このすっからかんのお腹に入ってくれたら。


わたしはもうひと晩、生きていられる。


ねえ。


だれか。


わたしに食べ物をくださいな。



「きっしょい乞食やっ!あっち行き!」



突然そんな罵声とともに、わたしの頭に鈍い痛みが走った。


そして。


わたしは。


痛いと思う間もなく意識を手放した。




ああ、これでやっと死ねるんだ……



やっと


食べ物を求めて彷徨う暮らしも終わりなんだ



悔しくなんかない。


嬉しいんだ…………。


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