【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
秀政は幼い頃両親から離れ、伯父さんの元で育ったのだと聞いた。


彼も親の縁に薄い人だったのかと思えば、乞食のわたしにあれほどの情けを掛けてくれた理由も分かるような気がした。


哀れみとは違う、何か感じることがあって、彼はわたしに寄り添ってくれたのだろう。


ここに来てさらに分かったことは、彼がとても忙しいということだ。


主の信頼が厚いのか、昼も夜もなく奔走しているらしい。


だから最近彼には会っていない。


わたしも台所と女中部屋とを往復するだけで、家の表に出ることはなかったから、彼がどこで何をしているかなど皆目見当もつかなかった。


少し寂しい。


けれど、彼と同じ屋根の下で寝起きしているのだと思えば、その寂しさも和らぐような気がした。




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