【戦国恋物語】出会いは突然風のように…
「お前はどうしてここに来た?」


逆に問われ、わたしは答えに窮した。


「……秀政に、共に来いと言われたから……」


「それだけか?」


「……」


「秀政とめおとになりたかった?」


わたしはかぶりを振った。


「秀政の家でずっと下働きをしていたかった?」


わたしはまたかぶりを振った。


「ここに自分の違う人生がある。そう思ったから?」


わたしは目を見開いた。


今まで漠然として覚束なかったものが、殿の言葉ではっきりと見えたような気がした。


そう。


秀政の側にいることに安心感はあったけれど、でもわたしはどこかで違うものを求めていた。


せっかく新しく与えられた生だもの。


ただ守られて生きていくのは嫌だった。


それをどうして殿は見抜いたのだろう。


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