俺色〜ある草食系男子の日々
陽菜のそばから離れようとしない陽斗を置いて、
俺とひなたは面会室で久しぶりに向かい合った。
俺から大体の経緯を聞いたひなたは顔を手で覆って、
「ヒナちゃんも陽斗くんもかわいそうすぎる」
と言って、肩を震わせた。
ひなたが誰から今回のことを聞いたのかはわからないけど、
少し前からのスキャンダル騒ぎは気になっていた、と少し落ち着いたひなたは静かに話した。
そして、紙コップのお茶を一口飲んでひなたはまっすぐに俺を見つめた。
「喜三郎、あんた大丈夫?」
へ?
久しぶりに聞く俺の名前とは別に、一体その言葉が何を指してるのかさえ俺にはわからなかった。
あぁ、俺の心配。
ここ最近、とにかく俺がしっかりしなければ、冷静に落ち着いて行かなければ、という気持ちが大きすぎて、
そんな自分を構ってる余裕なんて全くなかった。