俺色〜ある草食系男子の日々
俺は、会議室を出て行くカズマに最後に尋ねた。
「お前も陽菜ちゃんのこと、好きなんだな」
カズマはそんな俺の言葉にこっちをみないまま一言答えた。
「あぁ」
そこからはさっきまでの感情の揺れは全く感じられない。
ここ最近の奴に戻った感じだ。
「もしかして、それもあって陽斗のアメリカ行きをすすめた、とか?」
「さぁ、どうだろ・・・けど、俺はもう決めたから。迷わない。あいつを守るためならなんでもするし、なんでも・・・・・・切り捨てる」
「カズマ、それは」
違う、と言いかけたけど、それは言えなかった。
扉が閉まる音を聞きながら、俺はなんだか泣きたくなった。
陽斗の気持ちも、カズマの気持ちも
両方が痛いほどわかる。
大事な人を守りたい、
ただ、それだけのことなのに。
なんで、こんなに切ないんだろう。