俺色〜ある草食系男子の日々
「俺さ、じゃあそいつと一緒になんの?って聞いたんだ。そしたら・・・」
そしたら・・・?
ナオはただ首を横に振った。
「一緒にはなれない、って。彼も、彼の大切にしてるものも、全部含めて好きだから。それを邪魔することはしたくないから、って・・・」
全身から力が抜けていく。
ナオは、照明に照らされた虹色のカクテルを見つめたまま、つぶやいた。
「黙っててごめん」
「うん・・・・」
きっと、ひなたに、誰にも言わないで、なんて言われてたんだろう。
ナオはカバンからメモを出して、テーブルの上に置いた。
「これ、引っ越した先らしい。本当にそこにいるかはわからないけど」
俺の目の前にある白い紙は、照明の下でまぶしいくらいだ。
「俺さ、ひなたの好きな奴って・・・・」
ナオが言いかけた言葉を俺はさえぎるようにメモをにぎりしめた。
「サンキュな」
それを見て、ナオはただフッと笑った。
ナオ、潤平。
ありがとな。